売り場を直す順番 ── 棚を動かす前に、売上6.15%と16.1%が取れる
「売り場を良くしたい」── ところが手段は無数にあります。陳列、動線、品揃え、POP、什器。どれも「やったほうがいい」と言われますが、どれが先かは誰も教えてくれません。
結果として、いちばん手間のかかる「棚を動かす」から始めてしまうことになりがちです。
実測された効果の大きさと着手のしやすさで並べると、棚を動かすのは 4 番目になります。
先に取れるのは ピークの 3 時間に人を寄せて売上 6.15%、通らせ方を変えて試算 16.1%、そして 棚に出ていない在庫を出すことです。いずれも棚を触りません。
本記事は、当サイトの売り場に関する 8 本の記事を、着手する順番で並べ直したものです。それぞれの詳しい根拠は各記事にあります。
この記事は以下のような方に読んでいただきたい内容です。
- 売り場を良くしたいが、何から手をつけるか決められない店舗経営者
- 棚替えの計画を立てる前に、優先順位を確かめたい店長
- 限られた人手で、いちばん効くところに使いたい売り場責任者
- 良かれと思ってやったことが裏目に出た経験のある方
- 売り場の施策を数字で比べたい方
概要 ── 棚を動かすのは 4 番目
売り場を見直したいのですが、やることが多すぎて。まず棚替えから、と考えていたのですが…。
その順番だと、いちばん手間のかかることから始めることになります。棚を動かすのは 4 番目でいい。今日は実測された効果の大きさと、着手のしやすさで並べ直した順番をお話しします。
- 棚に出ていない在庫: 欠品の原因の 25%/欠品で失う年間売上は最大 4%
- ピークの 3 時間に人を寄せる: 失っている売上 6.15%/利益 +5.74%
- 通らせ方を変える: 試算 +16.1%(棚の移設は +7.2%)
- 棚の場所を変える: 目の高さへ移すと +8%/関連品を挟むと +5%
- 品揃えを削る: 購入間隔が +25.0%(来店回数が減る)
この順番について
この 5 段階は本記事の整理であり、研究がこの順番を示したわけではありません。 各研究はそれぞれ別の店・別の時期・別の業態で行われたもので、直接比べられるように設計されてはいません。 並べる基準にしたのは 効果の大きさ・着手のしやすさ・確からしさの 3 つです。
またいずれも米国の小売を対象にした研究で、業態も国も異なります。 自店では、段階ごとに指標を決めて確かめながら進めてください。
効く順に並べると 5 段階になる
先に全体像を示します。上の 3 つは棚を触りません。
- 1 番目: 棚に出ていない在庫を出す ── 今日できる/発注を変えなくても直る
- 2 番目: ピークの 3 時間に人を寄せる ── 今週できる/総人時を増やさない
- 3 番目: 通らせ方を変える ── 今週できる/掲示と声かけと目玉の置き場所
- 4 番目: 棚の場所を変える ── 棚替えの段取りが要る
- 5 番目: 品揃えを削る ── いちばん慎重に
並べてみるとひとつの傾向が見えます。「棚に触らない手」ほど上にきて、「棚を作り替える手」ほど下にくる。そして売り場の議論は、たいてい下から始まっています。
1 番目 ── 棚に出ていない在庫を出す
- 欠品に当たった客の 55% はその店で買わない(うち 31% は他店へ)
- 欠品率は世界平均 8.3%、年間売上の最大 4% にあたる
- 原因の 25% は、在庫が店内にあるのに棚へ出ていないだけ
- さらに 在庫記録の 65% は実際の数と合っていない
この 25% が、発注を変えなくても直る部分です。しかも記録の 65% が合っていない以上、システムの画面から入っても見つかりません。空いている棚を売場で見つけて、その商品を店内で探すところから始めます。
詳しくは 「欠品に当たった客の55%は買わずに帰る ── 31%が他店へ、原因の25%は品出しで直る」 と 「在庫記録の65%は合っていない ── 店内にあるのに客が見つけられない分だけ売上が減る」 にまとめています。
これを 1 番目に置く理由は 3 つです。今日できること、投資が要らないこと、そして ほかの施策の効果を先に食ってしまうこと。棚を良い場所に移しても、そこが空いていれば意味がありません。
2 番目 ── ピークの 3 時間に人を寄せる
- 人手不足で失っている売上は 6.15%、最適な人員計画で 利益 +5.74%
- 1 日 10 時間の営業のうち 3 時間に不足が集中し、その 3 時間に客の 60% 超が来る
- 調査した 41 店舗すべてで、この 3 時間が足りていなかった
- いっぽう 人員過剰は営業時間の 52.85% で起きている
ここが 総人時を増やさずにできる理由です。過剰は「広く薄く」、不足は「狭く深く」起きているので、薄く余っている分を 3 時間へ移すだけで成立します。
詳しくは 「人手不足で売上6.15%を失う ── 客の60%が来る3時間に、41店舗すべてが足りていなかった」 にまとめています。
6.15% の読み方
これは 理論上の上限にあたる推定値です。人を寄せれば必ず 6.15% 増えるという意味ではありません。 いっぽうで著者らは、失った客が競合に移る長期的な影響を含めていないため、この結果はむしろ保守的だとも書いています。
3 番目 ── 通らせ方を変える
- 買物客の動線は 売場の半分未満の区画しかカバーしていない
- 買うものの 46% は店に入ってから決まる(条件がそろうと 93%)
- 試算: 3 カテゴリを狙って推すと +16.1%/目的カテゴリを 3 つ移設すると +7.2%
- 実測: 遠くへ歩かせるクーポンで計画外支出 21.29 ドル/近くのクーポンで 13.83 ドル(+54%)
やることは 目玉商品・掲示・声かけを、客がふだん通らない区画に寄せることです。棚を 1 本も動かしません。
詳しくは 「遠くを通らせると計画外の買物が+54% ── 客は売場の半分も歩いていない」 にまとめています。
棚を動かすより、寄せ方を変えるほうが効くというのは意外です。
ここは 試算である点を割り引いて受け取ってください。ただし 「レイアウト変更とは棚を動かすことだ」という前提を疑うには十分な差です。工事も人手も要らない手を、先に試さない理由がありません。
4 番目 ── 棚の場所を変える
- 陳列を目の高さへ移すと売上 +8%(隣の商品は減らず、利益も +6%)
- 関連品を主力のあいだに挟むとカテゴリ売上・利益 +5%(3 品群すべてが伸びた)
- 挟む幅は 2.4 〜 3.7 メートル。並べ方の軸を変えても +5% で 10 か月持続
- いっぽう 棚を 10% 広げても売上は +1.7%(1,268 件の推定値を統合したメタ分析)
効果は小さくありません。実測であり、しかも持続します。順番が 4 番目なのは効果が小さいからではなく、棚替えの段取りが要るからです。
詳しくは 「陳列を目の高さに移すと売上+8% ── フェイス22%の付け替えでは動かない、棚は場所で決まる」 と 「関連品を主力の間に挟むと売上+5% ── 主力は減らず3品群すべて伸びた、挟む位置と幅」 にまとめています。
並べる向き(縦か横か)による違いは 「横に並べると3種類選ぶ客が81% ── 縦並びは44%、同じ32種類が22.46種類に見えていた」 にまとめています。品数を増やさずに試せるので、棚を動かす前に確かめる価値があります。
ここで注意が 1 つあります。棚を広げること自体の効きは弱い(+10% で +1.7%)。広げるのではなく、場所を移すのが効きます。
5 番目 ── 品揃えを削る
- 品揃えを 24% から 91% 削った実験で、店全体の売上が減った
- 減ったのは客単価ではなく来店回数。注文の間隔が平均 25.0% 延びた
- 打撃が大きいのは たまにしか買わないカテゴリ(購買間隔が 1 日長くなるごとに平均 2.23% 悪化)
- 広く引用されている 「削ると売上 +11%」は、いま +1.5%(標準誤差 1.4%)として扱われている
最後に置く理由は 2 つです。いちばん取り返しがつかないこと。そして 客単価が変わらないので、レジのデータを見ても異変に気づけないことです。
詳しくは 「品揃えを削ると購入間隔が25%延びる ── 減るのは客単価ではなく来店回数」 にまとめています。
削ること自体を否定はしません。棚が足りない店にとって削減は現実の必要です。ただ 削減の目的はコストや作業量の削減に置き、売上は「下がらなければ上出来」と見ておく。売上を伸ばす手段として削ってはいけません。
やってはいけない 3 つ
順番の話と同じくらい大事なのが、実測で失敗が確認されている手です。いずれも良かれと思ってやりがちなものばかりです。
- メーカー別からタイプ別に並べ替えた実験で 売上 -6%
- 下落は 6 か月以上持続した
- しかも並べ替えに気づいた客は 200 名中 10% だけ
- 詳しくは 「探しやすく並べ替えたら売上-6% ── 気づいた客は10%、下がったまま半年続いた」
- フェイスを 22% 付け替えても、売上に有意な差は出なかった
- 効いたのは フェイス数ではなく棚の場所(目の高さへ移すと +8%)
- 詳しくは 「陳列を目の高さに移すと売上+8% ── フェイス22%の付け替えでは動かない、棚は場所で決まる」
- 利益は +2.04% 改善するが、売上は -3.4%
- いっぽう 足りない 3 時間に寄せるほうは 利益 +5.74%
- 著者ら自身が「長期の顧客満足のデータがないため追加の分析が必要」と述べている
- 詳しくは 「人手不足で売上6.15%を失う ── 客の60%が来る3時間に、41店舗すべてが足りていなかった」
3 つに共通しているのは 「店側から見て正しそう」に見えることです。分かりやすく並べる、目立たせる、無駄を削る。どれも筋は通っているのに、実測すると逆に出ました。だからやる前に測る基準を決めておくことが要ります。
段階ごとに測る指標が変わる
ここが実務でいちばん間違えやすいところです。どの段階でも売上を見てしまうと、効いたかどうかが分かりません。
- 1 番目(在庫を出す) → 空いた棚の数と「店内に在庫があったか」で分けた割合
- 2 番目(人を寄せる) → ピーク 3 時間の転換率(買った客 ÷ 来店した客)
- 3 番目(通らせ方) → その区画を通った人数
- 4 番目(棚の場所) → 対象商品の売上と隣の商品の売上(隣が減っていないか)
- 5 番目(品揃えを削る) → 客単価ではなく、同じ客の来店間隔
とくに 5 番目は客単価が変わりません。レジのデータを見ているかぎり、異変は現れない。減っているのは「今日来ていない人」なので、店の中には現れないんです。
30 日の進め方 ── 出す・寄せる・通らせる
- ① 時刻を決めて空いた棚を数える: 画面ではなく売場から入る
- ② 「店内に在庫があったか」で分けて記録する: この割合が 1 番目の指標
- ③ 見つかった場所を 4 分類で記録する: バックルームの奥/別の棚/台車の上/未開封
- ④ 空いた棚をその日のうちに埋める: ここまでは投資が要らない
- ⑤ 1 時間ごとの来店客数を並べる: 売上ではなく客数
- ⑥ 上位 3 時間と、その時間の人時の割合を比べる: 差がそのまま不足の大きさ
- ⑦ 余っている時間帯から人時を移す: 総人時は増やさない
- ⑧ 3 時間の転換率を控える: 2 番目の指標
- ⑨ 平面図に動線を引く: 1 時間で 10 人ぶん。白く残る区画が出る
- ⑩ 白い区画に目玉を 1 つ置く: 掲示と声かけもそこへ寄せる
- ⑪ その区画の通行人数を数える: 3 番目の指標
- ⑫ 棚を動かすのはここから先: 上の 3 つを終えてから判断する
⑫ が全体の要です。棚替えは、やってしまうと元に戻すのに同じ手間がかかります。戻せる手を先に全部試してから、戻しにくい手に進む。この順番自体が、失敗したときの損失を小さくします。
この記事が参照している研究
- 1 番目 ── 業界共同調査(2002 年)と、その査読版(2003 年発表)。 在庫記録の実態はデホラティウスとラマン(2008 年発表)、 客が見つけられない商品の影響はトンとラマン(2010 年発表)
- 2 番目 ── マニ、ケサヴァン、スワミナサン(2015 年発表)。米国のアパレル小売 41 店舗
- 3 番目 ── ホイ、インマン、ホアン、スーハー(2013 年発表)と、 インマン、ワイナー、フェラーロ(2009 年発表)
- 4 番目 ── ドレーズ、ホック、パーク(1994 年発表)と、アイエント(2014 年発表)のメタ分析
- 5 番目 ── ボーレ、ボートライト、ケイデン、ヌネス、シュムエリ(2005 年発表)と、 ボートライトとヌネス(2001 年発表/2004 年訂正)
それぞれの詳しい数値と注意点は、各記事の出典欄に記載しています。
まとめ
- 売り場に手を入れる順番は ①在庫を出す ②人を寄せる ③通らせ方を変える ④棚の場所を変える ⑤品揃えを削る
- 棚を動かすのは 4 番目。上の 3 つは棚を触らずにできる
- 1 番目: 欠品の原因の 25% は棚に出ていないだけ。発注を変えなくても直る
- 2 番目: 失っている売上 6.15%。総人時を増やさず、3 時間へ寄せるだけ
- 3 番目: 試算で +16.1%(棚の移設は +7.2%)。棚を 1 本も動かさない
- 4 番目: 目の高さへ移すと +8%、関連品を挟むと +5%。 ただし棚を広げるのは +10% で +1.7%と弱い
- 5 番目: 削ると来店回数が減る(購入間隔 +25.0%)。 売上を伸ばす手段として削らない
- やってはいけない 3 つ ── 探しやすく並べ替える(-6%)/フェイスだけ増やす(差が出ない)/閑散時間の人員を削る(売上 -3.4%)
- 段階ごとに測る指標が変わる。 空いた棚の数 → 転換率 → 通行人数 → 隣の売上 → 来店間隔
- 戻せる手を先に全部試してから、戻しにくい手に進む
なお、この 5 段階の外側にある手段(店内の音楽・香り・照明の色)については 「店内BGMの効果は小から中 ── 66研究15,621名で満足度は動くが覚醒度は動かなかった」 にまとめています。効果量は小から中の範囲なので、この 5 段階を終えてから手をつけてください。
なお、この順番を進めるときに客に聞いて確かめようとしてはいけません。理由は 「同じ商品4つでも右端が4倍近く選ばれる ── 客に聞いて売場を決めてはいけない」 にまとめています。客は自分の選択に何が効いたかを知らないまま、もっともらしい理由を答えます。
なお特売のときの売り場については 「特売日は1日の売上が12.9%減っていた ── 日替り商品を店頭に置くと客は他を見ない」 にまとめています。国内のドラッグストアを観察した研究で、当サイトの売り場記事では唯一の国内データです。
今週できることは 1 つだけです。時刻を 1 つ決めて売場を回り、空いている棚の数を数えて、その商品が店内にあったかどうかで分けて書き留めること。1 番目はここから始まります。棚替えの計画は、そのあとで構いません。
※ 本記事の 5 段階は当サイトの整理であり、研究がこの順番を示したわけではありません。各研究はそれぞれ別の店・別の時期・別の業態で行われたもので、直接比べられるように設計されてはいません。並べる基準にしたのは効果の大きさ・着手のしやすさ・確からしさの 3 つです。また参照している研究はいずれも米国の小売を対象にしたもので、業態も国も異なるため、自店の値を示すものではありません。「+16.1%」と「+7.2%」は試算であり実測ではありません。「6.15%」は理論上の上限にあたる推定値である一方、著者らは長期の影響を含めていないため保守的だとも述べています。「+11% は +1.5%」については、2004 年の訂正の全文を取得できていないため、何がどう訂正されたかまでは確認できていません。それぞれの数値の詳しい注意点は、各記事の注記に記載しています。自店では、段階ごとに指標を決めて確かめながら進めてください。
よくある質問
売り場を直すなら、まず何から手をつけるべきですか?
棚に出ていない在庫を出すことです。欠品の原因のうち 25% は、在庫が店内にあるのに棚へ出ていないだけでした。つまり発注を変えなくても直る部分です。欠品に当たった客の 55% はその店で買わず、31% は他店へ行きます。欠品率は世界平均で 8.3%、年間売上の最大 4% にあたります。
しかも在庫記録の 65% は実際と合っていないため、システムの画面から入っても見つかりません。空いている棚を売場で見つけて、その商品を店内で探すところから始めてください。なおこの順番は本記事の整理であり、研究がこの順番を示したわけではありません。
棚のレイアウトを変えるのは何番目ですか?
4 番目です。棚の場所を変える効果は実測されていて、目の高さへ移すと売上が 8% 増え、関連品を主力のあいだに挟むと 5% 増えます。どちらも小さくありません。ただし棚を動かすには棚替えの段取りと人手が要ります。
いっぽう先の 3 つ、つまり棚に出ていない在庫を出す、ピークの 3 時間に人を寄せる、通らせ方を変えるは、いずれも棚を触らずに今週から始められます。効果も小さくなく、ピークに人を寄せると失っている売上 6.15% に届き、通らせ方を変えると試算で 16.1% です。棚を動かす前に取れるものを先に取ってください。
「通らせ方を変える」とは具体的に何をするのですか?
目玉商品や掲示、声かけを、客がふだん通らない区画に寄せることです。買物客の動線は売場の半分未満の区画しかカバーしていません。つまり半分以上の棚は、その客にとって存在しなかったのと同じです。
研究の試算では、3 つの商品カテゴリを狙って推すと計画外支出が 16.1% 増えるのに対し、目的カテゴリを 3 つ移設する、つまり棚を動かす案では 7.2% でした。2 倍以上の差です。ただしどちらも試算であって実測ではありません。実測としては、計画した動線から遠くへ歩かせるクーポンのほうが、近くのクーポンより計画外支出が 54% 多いという結果があります。
品揃えを削るのが最後なのはなぜですか?
削ると減るのが客単価ではなく来店回数だからです。米国のネットスーパーで 840 世帯と 378 世帯を比べた自然実験では、品揃えを 24% から 91% 削った結果、店全体の売上が減りました。注文と注文のあいだの間隔は平均で 25.0% 延びています。
つまり削減は、かごの中身ではなく来店そのものを削ります。しかも客単価は変わらないため、レジのデータを見ても異変に気づけません。なお広く引用されている「削ると売上が 11% 増えた」という数字は、その後の学術文献では 1.5%(標準誤差 1.4%)として扱われており、統計的にゼロと区別できない値です。
やってはいけないことはありますか?
実測で失敗が確認されているものが 3 つあります。1 つ目は、探しやすい並びに変えることです。メーカー別からタイプ別に並べ替えた実験では売上が 6% 下がり、下落は 6 か月以上続きました。
2 つ目は、フェイス数だけを増やすことです。フェイスを 22% 付け替えても売上に有意な差は出ませんでした。3 つ目は、閑散時間の人員を削ることです。利益は 2.04% 改善しますが売上は 3.4% 減り、しかも著者ら自身が長期の顧客満足のデータがないため追加の分析が必要だと述べています。いずれも良かれと思ってやりがちな手です。
- ダニエル・コルステン、トーマス・グルーエン(2003 年発表)「消費財小売業における欠品への意識的な対応」 — 日用消費財の小売で、欠品により年間売上の最大 4% を失うと報告した。本記事の 1 番目の根拠。小売・流通管理の国際学術誌
- ニコル・デホラティウス、アナンス・ラマン(2008 年発表)「在庫記録の不正確さ ── 実証分析」 — 37 店舗から 37 万件近くの在庫記録を検査し、65% が実際と合っていないことを示した。本記事の 1 番目の根拠。経営科学の国際学術誌
- ヴィディヤ・マニ、サラヴァナン・ケサヴァン、ジャヤシャンカール・スワミナサン(2015 年発表)「小売店舗における人手不足が売上と収益性に与える影響の推定」 — 米国のアパレル小売 41 店舗の 1 時間ごとのデータを分析。失われている売上 6.15%、最適な人員計画で利益 +5.74%、人員過剰の削減は売上 -3.4%・利益 +2.04%。本記事の 2 番目とやってはいけない 3 つ目の根拠。生産管理研究の国際学術誌
- サム・ホイ、ジェフリー・インマン、ヤンリウ・ホアン、ジェイコブ・スーハー(2013 年発表)「店内の歩行距離が計画外支出に与える影響」 — 買物客の動線は売場の半分未満しかカバーしていない。試算では 3 カテゴリを狙って推すと +16.1%、目的カテゴリを 3 つ移設すると +7.2%。本記事の 3 番目の根拠。マーケティングの国際学術誌
- ザビエル・ドレーズ、スティーブン・ホック、メアリー・パーク(1994 年発表)「棚の管理とスペース弾力性」 — 陳列を目の高さへ移すと売上 +8%、フェイスを 22% 付け替えても有意な差は出ない。並べ替えて探しやすくすると売上 -6%。本記事の 4 番目と、やってはいけない 1 つ目・2 つ目の根拠。小売研究の国際学術誌
- シャラド・ボーレ、ピーター・ボートライト、ジョセフ・ケイデン、ジョセフ・ヌネス、ガリット・シュムエリ(2005 年発表)「品揃えの変更が客の定着に与える影響」 — 品揃えを 24% から 91% 削ると店全体の売上が減り、注文の間隔が平均 25.0% 延びた。減るのは客単価ではなく来店回数。本記事の 5 番目の根拠。マーケティング科学の国際学術誌
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