売り場
品揃え・レイアウト・陳列・品出しを、実験と一次資料から見直す実践手法。棚のどこに何をどう置くかで売上は動く。
上の服を手に取った客は下も手に取る確率0.29 ── 見てもいない客は0.03、掛け方で連鎖が変わる
陳列方法は「正面が見える」「袖が見える」「畳んである」という見た目で語られがちですが、465名の行動を記録した研究では、掛け方によって客の行動が連鎖する向きが変わっていました。フェイスアウトは上下、スリーブアウトは左右、フォールデッドは左右だが視認どまりです。
棚の前を3回通らせても買う確率は0.21 ── 止まった回数が3回なら0.58
国内の量販店で買物客75名を尾行追跡し、65の陳列棚それぞれについて通過回数・滞留回数・滞留時間と購買の関係を条件付確率で出した研究があります。同じ棚を3回通らせても購入確率は0.21ですが、3回止まれば0.58。さらに秒数で行動が変わり、棚幅と曲がる回数は関係しませんでした。
新しい食べ方を売場で見せると売上が他店比2.05倍 ── 立寄りは0.785倍に減っていた
国内スーパーのエンド売場を8週間借りた実験で、既存商品の新しい食べ方をPOPで訴求した週の売上が、同チェーン3店舗と比べて2.05倍になりました。ところが天井カメラで測った立寄りは0.785倍に減っています。売上が上がったのに足は止まらなかった理由を、通過・立寄・接触・買上の4段階で解説します。
青果の76%は買うと決めずに選ばれる ── 白いPOPは近づくまで見られていなかった
国内のスーパーで買物客20名にアイカメラを装着して視線を測った研究があります。POPを見ている割合は視線全体の2割強、最大でも4割でした。しかも店舗標準の白いPOPは近くまで来ないと見られず、色を変えたPOPだけが遠くから見られていました。効かなかった2パターンもあわせて解説します。
売場で香りを流すと購買点数が1.83倍 ── 何もしない店は0.93倍、香りをやめると戻った
国内のスーパー3店舗で5週間おこなわれた実験で、売場にフライドポテトの香りを流した週の購買点数が1.37倍と1.83倍になりました。何もしない対照店は0.93倍です。ただし香りを止めた週は0.98倍まで戻り、隣の売場への波及もありませんでした。効いたことと効かなかったことを両方お伝えします。
品揃えを増やすと迷う客の選び直しが38% ── 目当てが決まった客は13%、正解が逆転する
品揃えは多いほうがよいのか少ないほうがよいのか。消費者研究の国際学術誌に載った4実験によると、答えは客のタイプで逆転します。欲しいものを言葉にできない客は品揃えを増やすと選び直しが9%から38%へ増え、言葉にできる客は27%から13%へ減りました。同じ商品・同じ売場でこの反転が起きます。売場の出し分け方まで解説します。
特売日は1日の売上が12.9%減っていた ── 日替り商品を店頭に置くと客は他を見ない
国内のドラッグストアを観察した研究で、特売期間の売上が日常時より平均12.9%減っていました。1日170万円の店なら22万円の減収です。原因は広告で集めた客が、店頭の安い日替り商品だけを買ってレジに直行するため。置き場所を主通路へ移した試算もあわせて解説します。
横に並べると3種類選ぶ客が81% ── 縦並びは44%、同じ32種類が22.46種類に見えていた
同じ商品を横に並べるか縦に並べるかで、選ばれる種類が変わります。玄関先の実験では3種類すべて違うものを選んだ子が横並びで81%、縦並びで44%でした。実店舗では同じ32種類が横で32.14種類、縦で22.46種類と見積もられています。効果が消える場面もあわせて解説します。
店内BGMの効果は小から中 ── 66研究15,621名で満足度は動くが覚醒度は動かなかった
店内の音楽・香り・色の効果を66研究・のべ15,621名で統合したメタ分析では、音楽がある環境の効果は満足度で.226、行動意図で.130、快さで.098でした。目安は.10が小、.30が中です。覚醒度は有意に動かず、暖色は満足度を下げていました。効果の大きさを正直に示します。
同じ商品4つでも右端が4倍近く選ばれる ── 客に聞いて売場を決めてはいけない
中身がまったく同じストッキングを4足並べると、右端が左端より4対1近い比率で選ばれました。ところが理由を聞くと、位置を挙げた人は1人もいませんでした。売場を並べ替えても気づいた客は200名中10%で、それでも売上は6%下がっています。聞かずに決めるための手順を解説します。
売り場を直す順番 ── 棚を動かす前に、売上6.15%と16.1%が取れる
売り場に手を入れる順番を、実測された効果の大きさと着手のしやすさで5段階に並べました。棚を動かすのは4番目です。ピークの3時間に人を寄せれば売上6.15%、通らせ方を変えれば試算で16.1%。棚に出ていない在庫を出すのが1番目です。やってはいけない3つもあわせて示します。
人手不足で売上6.15%を失う ── 客の60%が来る3時間に、41店舗すべてが足りていなかった
人手不足で失っている売上は6.15%、解消すると利益は5.74%改善します。41店舗の時間別データを分析した結果です。不足は営業10時間のうち3時間に集中し、その3時間に1日の客の60%超が来ていました。人を減らす側は利益+2.04%にとどまる理由もあわせて解説します。
遠くを通らせると計画外の買物が+54% ── 客は売場の半分も歩いていない
計画した動線から遠くへ歩かせるクーポンを渡すと、計画外の買物が13.83ドルから21.29ドルへ54%増えました。買物客の動線は売場の半分未満しかカバーしていません。買うものの46%は店に入ってから決まります。棚を動かすより通らせ方を変えるほうが効く理由を解説します。
品揃えを削ると購入間隔が25%延びる ── 減るのは客単価ではなく来店回数
品揃えを削ると、注文と注文のあいだの間隔が25%延びました。840世帯と378世帯を比べた自然実験の結果です。減ったのは1回あたりの買物額ではなく買いに来る回数でした。有名な「削ると売上+11%」がいま+1.5%として扱われている経緯と、削ってよいカテゴリの見分け方を解説します。
在庫記録の65%は合っていない ── 店内にあるのに客が見つけられない分だけ売上が減る
在庫記録の65%は実際と合っていません。37店舗・37万件近くを検査した調査の結果です。しかも記録が合っていても、客が見つけられない場所にしかない商品は買われません。その割合が1標準偏差増えると店の売上は1%減ります。品揃えを増やすほど増えるこの問題の見つけ方を解説します。
欠品に当たった客の55%は買わずに帰る ── 31%が他店へ、原因の25%は品出しで直る
欠品に当たった客の55%は、その店で買いません。31%は他店へ行きます。世界平均の欠品率は8.3%で、年間売上の最大4%にあたります。しかも原因の25%は在庫が店内にあるのに棚へ出ていないだけ。発注では直らず品出しで直る部分の見つけ方を解説します。
探しやすく並べ替えたら売上-6% ── 気づいた客は10%、下がったまま半年続いた
探しやすく並べ替えたら売上-6%。米国スーパー86店舗の実験では、味をあいうえお順に相当する並びに変えたスープが-6%、メーカー別からタイプ別に変えたシリアルが-5%でした。下がったまま半年続き、200名に聞くと並べ替えに気づいた客は10%。売場変更を数字で判断する手順を解説します。
関連品を主力の間に挟むと売上+5% ── 主力は減らず3品群すべて伸びた、挟む位置と幅
関連品を2つの主力のあいだに挟むと、カテゴリ売上・利益が+5%。米国スーパー86店舗の実験では、柔軟剤を液体洗剤と粉末洗剤のあいだに2.4〜3.7メートル分挟んだところ、心配された主力の落ち込みは起きず、3品群すべてが伸びました。挟む位置と幅、並べ方の軸の決め方を解説します。
陳列を目の高さに移すと売上+8% ── フェイス22%の付け替えでは動かない、棚は場所で決まる
陳列を目の高さに移すと売上+8%。米国スーパー86店舗の実験では、上段から目の高さへ移した商品が+8%、入れ替わった商品は減りませんでした。一方でカテゴリ内のフェイスを22%付け替えても売上に有意差はなく、棚を10%増やしても+1.7%。棚は数ではなく場所で決まります。