関連品を主力の間に挟むと売上+5% ── 主力は減らず3品群すべて伸びた、挟む位置と幅
関連する商品を近くに置きたいが、主力の売場を削ることになるので踏み切れない ── 売り場でいちばんよく聞く迷いです。実際、関連陳列を勧める資料は数多くありますが、「主力の売上は落ちないのか」に答えたものはほとんどありません。
効果の大きさも示されていません。当サイトで調べた 7 サイトはいずれも「客単価が上がる」「ついで買いが増える」という説明にとどまり、実測値がありませんでした。
米国のスーパー 86 店舗で行われた実験に答えがあります。洗濯用品の棚で、柔軟剤を液体洗剤と粉末洗剤のあいだに移したところ、カテゴリ売上・利益がともに +5%(p<.01)伸びました。
しかも研究者の期待を上回りました。事前の想定は「柔軟剤だけが伸び、洗剤には影響しない」でしたが、結果は 3 つの品群すべてが伸びたのです。主力は食われませんでした。
本記事は、同じカテゴリの中で並び順を変えるだけの打ち手を扱います。什器の追加も、別カテゴリからの持ち込みも要りません。挟む位置と幅、そして並べ方の軸の決め方を、実験の数字から整理します。
この記事は以下のような方に読んでいただきたい内容です。
- 関連する商品を近づけたいが、主力の売場を削るのが怖い売り場責任者
- 関連陳列をやってみたが、効いているか判断できていない店舗経営者
- ブランド別に並べるかサイズ別に並べるかで迷っている方
- 什器を増やさずにできる打ち手を探している店長
- 売場の変更を、数字で判断できる形にしたい方
概要 ── 挟むと +5%、主力は減らない
関連する商品を近くに置くといい、というのはよく聞きます。ただ、そのぶん主力の売場が狭くなるわけですよね。そこで止まってしまって…。
その心配に、実験がはっきり答えています。米国のスーパー 86 店舗で洗濯用品の棚を組み替えた結果、カテゴリ売上・利益がともに +5%。しかも3 つの品群すべてが伸びました。研究者自身も、ここまでは予想していませんでした。
- 関連品を 2 つの主力のあいだに挟む: カテゴリ売上・利益ともに +5%(p<.01)
- 伸びた品群: 3 つすべて(液体洗剤・粉末洗剤・柔軟剤)
- 挟んだ幅: 2.4〜3.7 メートル分
- 並べ方の軸を変える: カテゴリ売上・利益ともに +5%(p<.001)、10 か月持続
前回の記事では 「陳列を目の高さに移すと売上+8% ── フェイス22%の付け替えでは動かない、棚は場所で決まる」 として、高さを変えることの効果を扱いました。本記事はその続きで、横方向の並び順の話です。
この記事の数字について
主データは 1994 年に米国の食品スーパー 86 店舗で行われたフィールド実験です。国内の店舗を対象にしたものではなく、売場の環境も当時とは変わっています。同じ実験の 8 カテゴリ全体では 2 つで売上が減っており、すべての並べ替えが効いたわけでもありません。数値そのものを目標値にせず、「何が起きうるか」の目安として読んでください。
現場の心配 ── 主力が食われないか
関連陳列を勧める資料は数多くあります。ただし当サイトで調べた範囲では、7 サイトすべてが「主力商品の売上が落ちないか」に触れていませんでした。
- 効果の実測値: 「客単価が上がる」までで、何%かが示されていない
- 主力への影響: 7 サイト中 0。現場が最も気にする点
- 挟む位置: 「隣に置く」で終わり、どこに置くかの指定がない
- 挟む幅: どれだけ棚を割くかの目安がない
- 同じカテゴリ内での並べ替え: 例はすべて別カテゴリの組み合わせ
ここが判断を止めている原因だと思います。「やったほうがいい」とは書いてあるが、「どれだけ効いて、何が犠牲になるか」が書いていない。だから決められない。実験はその両方を測っています。
実験の中身 ── 柔軟剤を洗剤のあいだへ
主データは、小売研究の国際学術誌に載った 1994 年の論文です。前回の記事と同じ実験の、別の部分にあたります。
- 元の並び: 横方向に 液体洗剤 → 粉末洗剤 → 柔軟剤の順。柔軟剤は端にあった
- 変えたこと: 柔軟剤を液体洗剤と粉末洗剤のあいだへ移した
- 割いた幅: 柔軟剤に 2.4〜3.7 メートル分
- 狙い: どちらの洗剤を買う客の目にも入るようにする
- 事前の期待: 柔軟剤だけが伸び、洗剤には影響しない
柔軟剤は洗剤を買う人が一緒に買うもの、という発想ですね。それを端ではなく、まん中に持ってきた、と。
そのとおりです。端にあると、そこまで歩いた客にしか見えません。2 つの主力のあいだに置けば、どちらを買いに来た客の動線にも入る。位置の選び方に理屈があるんです。
3 品群すべてが伸びた
- カテゴリ売上・利益ともに +5%(p<.01)
- 液体洗剤: 伸びた
- 粉末洗剤: 伸びた
- 柔軟剤: 伸びた
- 研究者の事前の期待(柔軟剤だけが伸びる)を上回った
ここが本記事でいちばんお伝えしたい点です。主力の棚を削って関連品を挟んだのに、その主力も伸びた。取り合いではなかったということです。
理由までは実験で特定されていません。ただ考えられるのは、柔軟剤が視界に入ることで「洗濯」という用事そのものを思い出す客がいた、という経路です。関連品は、主力の売上を奪う競争相手ではなく、用事を思い出させる合図として働きうるということになります。
レジ周りで同じ考え方を使う方法は 「視覚的手がかりで客単価+14% ── レジ周り・カウンター・棚で月間+18万円」 にまとめています。見えるところに置くことが、思い出す合図になるという点で共通しています。
そのまま一般化しないこと
これは 1 つのカテゴリで得られた 1 つの結果です。同じ実験の 8 カテゴリ全体では 2 つのカテゴリで売上が減っています(統計的に有意ではない)。すべての並べ替えが効くわけではありません。試すときは前後の販売数を数え、減っていたら戻せる形で始めてください。
なぜ「隣」ではなく「あいだ」なのか
競合の資料は「関連する商品を隣に置く」と書きます。実験が行ったのは、もう一段踏み込んだ「2 つの主力のあいだに置く」という配置でした。
- 端に置く: そこまで歩いた客にしか見えない。手前で引き返す客には届かない
- 片方の隣に置く: その主力を買う客には見えるが、もう一方の客には遠い
- 2 つの主力のあいだに置く: どちらを買いに来た客の動線にも入る
- 前提: その関連品を買ってほしい相手が 2 種類いること。1 種類なら隣で十分
視線を計測した関連研究(2009 年)では、棚の上段や中央寄りに置かれた商品が視線を集め、評価も高いことが分かっています。同じ研究は、フェイス数が評価に与える影響が「視線を集めること」によって完全に説明されることも示しました。高さの「中央」と、横方向の「あいだ」は、どちらも見られる場所という点で同じ発想です。高さの話は 「陳列を目の高さに移すと売上+8% ── フェイス22%の付け替えでは動かない、棚は場所で決まる」 にまとめています。
うちの売場だと、何をあいだに挟むか…。お惣菜の棚で、主力が唐揚げと焼き魚なら、そのあいだにサラダを置く、みたいなことでしょうか。
まさにその考え方です。判断の順序は 2 つ。①その商品を買ってほしい相手が 2 種類いるか、②その 2 種類が別々の場所を見に来ているか。両方あてはまるなら、あいだに挟む価値があります。
並べ方の軸を変えても売上は動く
同じ実験は、並べ方の「軸」そのものを変える試みも行っています。トイレットペーパーの棚です。
- 元の並び: ブランド別(同じブランドの全サイズを一緒に陳列)
- 変えたこと: パッケージのサイズ別に組み替えた
- 結果: カテゴリ売上・利益ともに +5%(p<.001)
- 持続: 10 か月続いた(新商品の導入で棚を組み直すまで)
並べる商品も、棚の量も、高さも変えていません。「何を基準にまとめるか」を変えただけで +5%、しかも 10 か月続いた。並べ方の軸は、それ自体が売上を動かす変数だということです。
ただし、この結果にはそのまま真似すべきでない事情があります。次の章で正面から扱います。
その効果がどこから来ているかを見る
トイレットペーパーの実験について、研究者は狙いをはっきり書いています。「価格を比べにくくすること」でした。
- 当時の条件: 大容量の量目割引が小さく、販促の頻度から小さいサイズのほうが安いことも多かった
- 元のブランド別の並び: 同じブランドのサイズ違いが並ぶため、客は安い小容量を見つけやすかった
- サイズ別に変えた後: 同じブランドのサイズ間で価格を比べるには 3.6〜4.9 メートル歩く必要が生じた
- 結果として: 粗利の高い大容量が選ばれやすくなったと読める
…売れた理由が、お客様が比べにくくなったからだとすると、素直には真似しにくいですね。
同じ考えです。当サイトはこの手法をそのまま勧めません。ただし結果を隠すのも違うと思います。受け取るべきは 「並べ方の軸を変えるだけで売上は動く」という事実のほうです。
- ブランド別: 同じブランドのサイズ違いを比べやすい。決めているブランドがある客に親切
- サイズ別: 欲しい容量から探せる。「大きいのがほしい」と決めている客に親切
- どちらが正解ということはない。自店の客がどちらの決め方をしているかで選ぶ
- 比べにくくすることを目的にしない。それは短期的に売上を動かしても、店への信頼を削る
売上をつくる方法には、客の利益と両立するものと、そうでないものがあります。当サイトは前者だけを扱う方針です。再来店を積み上げる設計については 「スタンプカードは2個押して渡すと達成率19%→34% ── 来店間隔-20%と、常連には効かない理由」 もあわせてご覧ください。
自店で試す 5 つの手順
- 条件は 2 つ。買ってほしい相手が 2 種類いる/その 2 種類が別々の場所を見に来ている
- 両方あてはまらないなら、あいだに挟む必要はない。主力の隣で十分
- 1 カテゴリ・1 品群だけで始める。まとめて動かすと結果が読めない
- 端や片方の隣ではなく、2 つの主力のあいだへ
- 実験では 2.4〜3.7 メートル分を割いた。自店の棚の長さに対する割合で考える
- 目安は 通り過ぎるあいだに視界に入る幅。数フェイスでは主力を見ている客の視界に入らない
- 今回の打ち手は横方向の並び順だけ。高さを同時に変えると、どちらが効いたか分からなくなる
- 高さの効果は別の打ち手として、次の機会に試す
- ブランド別か、サイズ別か、用途別か。いまの軸が自店の客の決め方に合っているかを確認する
- 判断の目安は「客は何を先に決めているか」。ブランドを先に決めるならブランド別、量を先に決めるならサイズ別
- 比べにくくすることを目的にしない
- 挟んだ関連品/主力 A/主力 B/カテゴリ合計の販売数
- カテゴリ合計を必ず見る。関連品だけ伸びて主力が落ちていれば、取り合いが起きている
- 比べる期間は 前後それぞれ 4 週間。曜日の偏りを消す
- 減っていたら戻す。8 カテゴリ中 2 つは減っていた
棚の使い方そのものを見直す視点は 「レジ前・カウンター・棚の客単価設計 ── 視覚配置で+14%(実証)」 にもまとめています。
30 日の進め方 ── 決める・挟む・数える
- ① 1 カテゴリを選ぶ: 主力が 2 つあるカテゴリから選ぶ。1 つしかないなら対象外
- ② 挟む関連品を 1 つ決める: 2 種類の客に買ってほしいもの
- ③ いまの並びを記録する: 写真 1 枚でよい。戻すときに必要
- ④ 前 4 週間の販売数を控える: 関連品・主力 A・主力 B・カテゴリ合計の 4 つ
- ⑤ 2 つの主力のあいだへ移す: 高さは変えない
- ⑥ 幅を確保する: 通り過ぎるあいだに視界に入る幅。数フェイスでは足りない
- ⑦ 最初の 3 日は欠品を見る: 幅を広げた分、補充が追いつかないことがある
- ⑧ 客が探していないかを見る: 移した主力を探している様子がないか
- ⑨ 後 4 週間の販売数を数える: 前と同じ 4 つ
- ⑩ カテゴリ合計で判断する: 関連品だけ伸びて主力が落ちていれば取り合い。合計が伸びて初めて成功
- ⑪ 粗利でも見る: 実験では売上と利益がともに +5%だった。片方だけ伸びていないかを確認する
- ⑫ 減っていたら戻す: 記録した写真のとおりに戻す。戻せることが試せる条件
⑩ が判断の要です。関連品の販売数だけを見ていると、取り合いが起きていても成功に見えます。必ずカテゴリ合計で判断してください。
参考研究・論点
- ザビエル・ドレーズ、スティーブン・ホック、メアリー・パーク(1994 年発表) ── 米国の食品スーパー 86 店舗のチェーンでのフィールド実験。洗濯用品の棚で、横方向に「液体洗剤 → 粉末洗剤 → 柔軟剤」と並んでいた配置を変え、柔軟剤 2.4〜3.7 メートル分を液体洗剤と粉末洗剤のあいだへ移したところ、カテゴリ売上・利益がともに +5% 伸びた(p<.01)。事前の期待は柔軟剤だけが伸びることだったが、3 つの品群すべてが伸びた。別の試みとして、トイレットペーパーの棚をブランド別からサイズ別へ組み替えたところ、カテゴリ売上・利益がともに +5% 伸び(p<.001)、効果は 10 か月続いた。この組み替えは価格の比較をしにくくすることを狙ったもので、同じブランドのサイズ間で価格を比べるには 3.6〜4.9 メートル歩く必要が生じている。なお同じ実験の 8 カテゴリ全体では、6 カテゴリで売上・利益が有意に増加した一方、2 カテゴリでは有意でない減少が見られた
- ピエール・シャンドン、ウェズリー・ハッチンソン、エリック・ブラッドロー、スコット・ヤング(2009 年発表) ── 視線計測により、棚の上段や中央寄りに置かれた商品が視線を集め、評価も高いことを確認。フェイス数が評価に与える影響は「視線を集めること」によって完全に説明された。本記事では「あいだに置く」ことが効く理由の裏づけとして参照している
- マルティン・アイゼント(2014 年発表) ── 棚スペース弾力性の推定値 1,268 件を統合したメタ分析。平均は 0.17 で、棚を 10% 増やしても売上は 1.7% しか増えない。本記事では「幅を確保するために別の商品から棚を取る」判断の目安として参照している
「分かりやすく整理する」が裏目に出た例もある
同じ実験では、探しやすくすることを狙った並べ替えで売上が下がっています(スープ -6%、シリアル -5%)。研究者は理由を説明できていないと明記しており、並べ替えの向きは試すまで分かりません。だからこそ前後で数え、戻せる形で始めることが要ります。詳しくは 「探しやすく並べ替えたら売上-6% ── 気づいた客は10%、下がったまま半年続いた」 をご参照ください。
まとめ
- 関連品を 2 つの主力のあいだに挟むと、カテゴリ売上・利益がともに +5%(p<.01)
- 主力は食われなかった。液体洗剤・粉末洗剤・柔軟剤の 3 品群すべてが伸びた
- これは研究者の事前の期待を上回る結果だった(期待は「柔軟剤だけが伸びる」)
- 挟んだ幅は 2.4〜3.7 メートル分。数フェイスでは主力を見ている客の視界に入らない
- 「隣」ではなく 「あいだ」。端に置くと、そこまで歩いた客にしか見えない
- 条件は 2 つ ── 買ってほしい相手が 2 種類いる/その 2 種類が別々の場所を見に来ている
- 別カテゴリからの持ち込みではなく、同じカテゴリの中での並べ替え。什器も追加在庫も要らない
- 並べ方の軸(ブランド別・サイズ別)を変えるだけでも +5%(p<.001)、10 か月持続した
- ただしその効果は 価格を比べにくくしたことから来ている。当サイトはこの手法をそのまま勧めない
- 受け取るべきは 「並べ方の軸は、それ自体が売上を動かす変数だ」という事実
- 判断は カテゴリ合計で行う。関連品だけ伸びて主力が落ちていれば取り合い
- 8 カテゴリ中 2 つは減っていた。戻せる形で始める
今週できることは 1 つだけです。主力が 2 つあるカテゴリを 1 つ選び、そのあいだに置きたい関連品を 1 つ決めること。写真を 1 枚撮り、前 4 週間の販売数を控えてから動かしてください。カテゴリ合計が減っていたら、写真のとおりに戻せば済みます。
※ 主データは 1994 年に米国の食品スーパー 86 店舗のチェーンで行われたフィールド実験です。国内の店舗を対象にしたものではなく、売場の環境も当時とは異なります。同じ実験の 8 カテゴリ全体では、6 カテゴリで売上・利益が有意に増加した一方、2 カテゴリでは有意でない減少が見られました。すべての並べ替えが効くわけではありません。トイレットペーパーの並べ替えについては、研究者が価格の比較をしにくくすることを狙いとして明記しており、当時は大容量の量目割引が小さく、販促の頻度から小さいサイズのほうが安いことも多い状況でした。本記事はこの手法をそのまま推奨するものではなく、「並べ方の軸を変えると売上が動く」という発見として扱っています。自店では、挟んだ関連品・主力 2 つ・カテゴリ合計の 4 つの販売数を前後 4 週間で比べ、カテゴリ合計で判断してください。
よくある質問
関連品を挟むと、主力商品の売上が食われませんか?
この実験では食われませんでした。米国のスーパー 86 店舗で行われた実験では、洗濯用品の棚で柔軟剤を液体洗剤と粉末洗剤のあいだに移したところ、カテゴリ全体の売上・利益がともに +5% 伸びました。研究者の事前の期待は「柔軟剤だけが伸び、洗剤には影響しない」でしたが、結果は期待を上回り、液体洗剤・粉末洗剤・柔軟剤の 3 つの品群すべてが伸びています。
ただしこれは 1 つのカテゴリで得られた 1 つの結果です。同じ実験の 8 カテゴリ全体では 2 つのカテゴリで売上が減っており、すべての並べ替えが効いたわけではありません。試すときは前後の販売数を数え、減っていたら戻せる形で始めてください。
どこに挟めばいいですか?
2 つの主力のあいだです。実験では、もともと「液体洗剤 → 粉末洗剤 → 柔軟剤」という順に並んでいた棚で、柔軟剤を液体洗剤と粉末洗剤のあいだに移しました。狙いは、どちらの洗剤を買う客の目にも入るようにすることです。
端に置くと片方の客にしか見えませんが、あいだに置けば両方の客の動線に入ります。自店で当てはめるなら、その関連品を買ってほしい相手が 2 種類いるかどうかを先に考えてください。1 種類しかいないなら、その主力の隣で十分です。
どれくらいの幅を割けばいいですか?
実験では柔軟剤に 2.4〜3.7 メートル分の棚を割いています。ただしこれは大型のスーパーでの数字なので、自店の棚の長さに対する割合で考えてください。重要なのは、通り過ぎるあいだに視界に入る程度の幅があることです。数フェイスだけ挟んでも、主力を見ている客の視界には入りません。
なお棚の量そのものを増やす効果は小さく、1,268 件の推定値を統合したメタ分析では棚を 10% 増やしても売上は 1.7% しか増えません。幅を確保するために別の商品から棚を取るのであれば、取る相手を慎重に選んでください。
同じブランドをまとめるのと、サイズ別にまとめるのとどちらがいいですか?
売上だけで見れば、この実験ではサイズ別のほうが伸びました。トイレットペーパーの棚をブランド別からサイズ別に組み替えたところ、カテゴリ売上・利益がともに +5% 伸び、効果は 10 か月続いています。
ただし、この効果がどこから来ているかを見る必要があります。組み替えによって、同じブランドのサイズ違いの価格を比べるには 3.6〜4.9 メートル歩く必要が生じました。研究者は価格比較をしにくくすることを狙いとして明記しています。当時は大容量の量目割引が小さく、販促の頻度から小さいサイズのほうが安いことも多い状況でした。つまり、客が安い選択肢を見つけにくくなった結果とも読めます。
当サイトはこの手法をそのまま勧めません。受け取るべきは「並べ方の軸を変えるだけで売上は動く」という事実のほうです。どちらの軸を選ぶかは、自店の客がブランドを先に決めているか、量を先に決めているかで判断してください。
別のカテゴリの商品を持ってくる関連陳列とは違うのですか?
違います。よく紹介される関連陳列は、カレーの棚にごはんパックを置くような、別のカテゴリから商品を持ってくる方法です。この実験が行ったのは、洗濯用品という 1 つのカテゴリの中で並び順を変えることでした。
別カテゴリから持ってくる方法は、什器を追加したり在庫を二重に持ったりする必要があり、売場も乱れやすくなります。一方、同じカテゴリの中で順番を入れ替えるだけなら、追加の什器も在庫も要りません。まず自分のカテゴリの中でできることを試してから、別カテゴリの持ち込みを検討する順序をおすすめします。
- ザビエル・ドレーズ、スティーブン・ホック、メアリー・パーク(1994 年発表)「棚の管理と空間弾力性」 — 米国の食品スーパー 86 店舗のチェーンで、カテゴリごとに独立して棚割りを組み替えたフィールド実験。洗濯用品では、横方向に「液体洗剤 → 粉末洗剤 → 柔軟剤」と並んでいた配置を変え、柔軟剤 2.4〜3.7 メートル分を液体洗剤と粉末洗剤のあいだへ移したところ、カテゴリ売上・利益がともに +5% 伸びた(p<.01)。事前の期待は柔軟剤だけが伸びることだったが、3 つの品群すべてが伸びている。トイレットペーパーでは、ブランド別の並びをパッケージのサイズ別へ組み替えたところ、カテゴリ売上・利益がともに +5% 伸び(p<.001)、効果は新商品の導入で棚を組み直すまでの 10 か月続いた。この組み替えは価格の比較をしにくくすることを狙ったもので、同じブランドのサイズ間で価格を比べるには 3.6〜4.9 メートル歩く必要が生じている。当時は大容量の量目割引が小さく、販促の頻度から小さいサイズのほうが安いことも多かった。なお同じ実験の 8 カテゴリ全体では、6 カテゴリで売上・利益が有意に増加した一方、2 カテゴリでは有意でない減少が見られた。小売研究の国際学術誌
- ピエール・シャンドン、ウェズリー・ハッチンソン、エリック・ブラッドロー、スコット・ヤング(2009 年発表)「店内マーケティングは効くのか ── 棚のフェイス数と位置がブランドへの注目と評価に与える影響」 — 視線計測を用い、棚に並べた商品への視線と評価を測定。棚の上段や中央寄りに置かれた商品は視線を集め、評価も高かった。またフェイス数が評価に与える影響は「視線を集めること」によって完全に説明され、それ以外の経路は確認されなかった。本記事では、関連品を 2 つの主力の「あいだ」に置くことが効く理由の裏づけとして参照している。マーケティング研究の国際学術誌
- マルティン・アイゼント(2014 年発表)「棚スペース弾力性のメタ分析」 — 棚に割り当てたスペースと売上の関係について、1,268 件の推定値を統合したメタ分析。平均の弾力性は 0.17 で、棚を 10% 増やしても売上は 1.7% しか増えない計算になる。本記事では、関連品の幅を確保するために別の商品から棚を取る際の判断の目安として参照している。小売研究の国際学術誌
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