青果の76%は買うと決めずに選ばれる ── 白いPOPは近づくまで見られていなかった
POP の作り方を解説する記事はいくらでもあります。ところが そもそも何割が見られているのかを測った記事が 1 本もありません。
国内のスーパーで買物客にアイカメラを装着して測った研究によると、POP を見ている割合は視線全体の 2 割強でした。いちばん多く見ていた客でも 4 割です。
同じ研究が POP を最初に見た瞬間の距離も測っています。店舗標準の白い POP は、近い位置まで来ないと見られていませんでした。
いっぽう 色を変えた POP は、より遠くから見られていました。色を変える意味は「目立つ」ことではなく、見られ始める距離が伸びることにあります。
本記事の主データは 国内の学会誌に載った個別報告論文です。視線計測を主データにするのは当サイト初で、売場で香りを流すと購買点数が 1.83 倍 に続く 3 本目の国内研究になります。
この記事は以下のような方に読んでいただきたい内容です。
- POP を貼っているのに手応えがない店舗経営者
- POP の枚数を増やすか迷っている店長
- 青果や生鮮の売場を任されている売り場責任者
- 作り方の解説ではなく実測データを見たい方
- 国内の店舗で測った研究を知りたい方
概要 ── POP は見られていない前提で作る
POP は手書きにしたり色を足したり、いろいろ試しているんですが、効いている実感がなくて。
実は POP はそもそも見られていません。買物客の視線を実際に測ると、POP を見ている割合は平均で 2 割強でした。作り方を工夫する前に、この前提を置き直したほうが早いと思います。
- 視線に占める POP への注視: 平均 2 割強(最大の被験者でも 4 割)
- 全 POP への注視のうちカラー POP が占める割合: 5 割超(付いていたのは 5 商品中 2 商品)
- 青果物の非計画購買の比率: 76%(青果物以外 60%/全商品 64%)
- 非計画購買の対象になった青果物の陳列方法: ケース陳列 41%/プッシュアウト陳列 34%
- メニューが決まっていない客: ケース 3 段目以上にも 2 割を超す割合で視線が行く
- 売上点数が増えた POP: 3 パターン中 1 つだけ
この記事の数字について
主データは 国内の学会誌に載った個別報告論文で、原文を取得して数値を照合しています。
ただし 被験者は 20 名・すべて女性、都内の高級スーパー 1 店舗・2 日間、2005 年の調査です。
また 売上点数の変化は「増えた」という記述のみで、% や実数が示されていません。この点は本文でも都度示します。
買物客 20 名にアイカメラを付けた調査
この研究の作りで注目したいのは、模擬売場ではなく実際の店で測っていることと、買うことを依頼していないことです。
- 場所: 都内の高級スーパー 1 店舗の青果物コーナー
- 被験者: 同店を一定頻度以上で利用する 20 名(すべて女性)
- 時期: 2005 年 7 月 31 日 〜 8 月 1 日の 2 日間
- 装置: アイカメラ(視線計測)と IC レコーダーを装着し、普段どおり買い物してもらう
- 依頼したこと: 青果物コーナーを必ず通過することだけ
- 商品の購入は依頼していない(買ってくださいと頼むこと自体が行動を変えてしまうため)
- 店舗標準の POP: 白色を基調
- 実験用の POP: 色と内容を変えた(色は 暖色系と中間色)
- プッシュアウト陳列した 5 商品(ボストンレタス・パプリカ・レタス・ブロッコリー・にがうり)のうち、 ボストンレタスとパプリカの 2 つに実験用 POP、残りは店舗標準 POP
買ってくださいと頼まなかったのがこの研究の良いところです。同じ形の実験では、被験者に対象商品の購入を依頼するものが多いと著者は書いています。頼んだ時点で、それはもう普段の買物ではありません。
視線だけでなく その場で思い浮かんだことを口に出してもらう発話記録も同時に取っています。どこを見ていたかと、何を考えていたかを時系列で突き合わせられるのがこの手法の強みです。
青果の 76% は買うと決めずに選ばれていた
まず なぜ青果売場で POP が効くのかという前提から見ます。
- 青果物の非計画購買の比率 76%
- 青果物以外の商品 60%
- 全商品 64%
- → 青果物は、買うと決めずに来て店内で選ばれる比率がとくに高い
- 陳列方法は ケース陳列が最も多く 41%、次いで プッシュアウト陳列が 34%
- → この 2 つで全体の 7 割弱
- POP が添付された商品が 7 割ほど
買うものが決まっていないお客様が多いなら、POP が効きそうなものですが。
そのとおりです。効く余地は大きい。ただし、そもそも見られていないという問題が先にあります。次章がその数字です。
買うものが店内で決まる比率が高いほど、売場の作り方が結果を左右します。この考え方は 売り場を直す順番 でも扱っています。
POP を見ている割合は視線の 2 割強
ここが、この研究でいちばん厳しい数字です。
- 被験者全体の平均で 2 割強
- 最大の被験者でも 4 割
- → 平均的な客は、視線の 8 割近くを POP 以外に使っている
ここでいう注視とは、視線が時間の長短にかかわらず対象物に留まった状態を指します。つまり「ちらっと視線が乗った」だけでも 1 回に数えたうえで、それでも 2 割強ということです。
この数字の受け取り方は 2 通りあります。「POP は効かない」と考えるか、「見られる POP と見られない POP を分けなければ意味がない」と考えるか。この研究は後者の答えを出しています。
- プッシュアウト陳列した商品に添付した 全 POP への注視のうち、 カラー POP への注視が 5 割を上回った
- ただし カラー POP が付いていたのは 5 商品のうち 2 商品だけ
- → 枚数では 5 分の 2 なのに、注視では半分以上を集めていた
POP の枚数を増やす前に見直すべき点については、国内のドラッグストアを観察した研究も「近接させると個々の影響力が低下する」と指摘しています。増やすのではなく、散らばせる・変えるという順番になります。
白い POP は近づくまで見られない
この研究の独自性は 「どこから見られ始めたか」を距離で整理した点にあります。
- より遠くから注視されるのはカラー POP
- 店舗標準の POP(白)は、より近い位置に達しないと注視されない
- → 著者の結論: POP をカラー化することで、より遠くからでも客の注意を引ける
近くまで来れば見てもらえるなら、それでよいのではないでしょうか。
近くまで来ない客がいます。通路を通り過ぎるだけの客に届くかどうかが、この距離の差です。足を止めた客に見せる話ではなく、足を止めさせる話だと考えてください。
棚のどの位置が見られやすいかについては、陳列を目の高さに移すと売上 +8% で扱っています。位置で決まる部分と、色で決まる部分は別です。
- メニューが決まっている客: ケース 1 段目を中心とした視点移動が多くを占める
- 買う商品まで決まっている客: ケース 2 段目に集中
- メニューが決まっていない客: カテゴリーを超えて探索し、ケース 3 段目以上の商品や表示にも 2 割を超す割合で視線が行く
つまり 上の段や離れた場所の POP が見られるのは、献立が決まっていない客ということになります。同じ売場でも、客の状態によって届く場所が違います。
念入りに見られる POP と、ちらっと見られる POP
この研究は 先行研究の分類を使って、注視のしかたを 2 つに分けています。
- 念入りチェック: 商品を買うときはこちらの比率が高くなることが先行研究で示されている
- 簡単チェック: ちらっと視線が乗るだけ
- カラー POP(ボストンレタス・パプリカ)ほど「念入りチェック」が多く行われた
- 同じボストンレタスに併せて添付した店舗標準 POP には「簡単チェック」のみ
ここが決定的です。同じ商品の、すぐ隣に並んでいた 2 枚で差が出ました。白い POP は、色つきの POP のそばにあると、ちらっと見られて終わりだったということになります。
著者はこの結果から、POP の色と内容を変えることで客の外部情報への反応が高まると述べています。枚数ではなく、1 枚あたりの見られ方が変わるという話です。
効いた内容は 3 つのうち 1 つだけ
ここまでは 視線の話でした。では売れたのか。著者は POS データでも確かめています。
- ボストンレタス: 客にとって馴染みが薄い商品 × レシピの POP
- パプリカ: 産地作成の代表的なパターンである 生産者の写真などを内容とした POP
- オクラ: 調理方法が既知の商品 × レシピの POP(POS データの分析のみ)
- ボストンレタス ── 調査期間中の売上点数が前後と比べて増加
- パプリカ ── 際立った変化は確認できなかった
- オクラ ── 際立った変化は確認できなかった
- → 著者の結論: 馴染みが薄い商品にレシピを内容とした POP を添付するパターンが最も効果的
レシピの POP が効く、ということでしょうか。
そこは慎重に読んでください。同じレシピの POP でも、調理方法が知られているオクラでは変化がありませんでした。レシピが効いたのではなく、使い方を知らない商品に使い方を書いたときに効いたと読むほうが正確です。
生産者の写真が効かなかったことについて
生産者の写真は、産地が作る POP の代表的なパターンとして著者が位置づけているものです。
その代表的なパターンで 売上点数に際立った変化が確認できなかったという結果は、 よく使われている型が必ずしも効くとは限らないことを示しています。
ただし 売上点数の変化は「増加した」という記述のみで、% や点数の実数は示されていません。 1 店舗・2 日間の調査に付随した確認である点も含めて受け取ってください。
客は POP をこの順番で読んでいた
発話記録と視線を突き合わせた結果、POP を読む順番が見えています。
- ① 最初の注視: 大文字で記載されたコピーや写真を見る
- ② 次に: 他の商品との比較を行う
- ③ 購入を検討する段階: コメント文章を読む
順番があるということは、1 枚の POP に役割の違う 2 つの要素を入れる必要があるということです。遠くから気づかせる大きな文字や写真と、近づいてから読ませる説明文。どちらか片方だけの POP は、途中で止まります。
著者はさらに、情報を統合する段階で 「注意を引く」「他商品との比較を行う」「選択・購入を検討する」という 3 つの段階が観察されたとしています。POP を付けた商品が、比較の基準になっていたという点も報告されています。
この研究の性質と限界
- 模擬売場ではなく実店舗で、視線と発話を同時に記録している
- 商品の購入を依頼していない(行動を変えないため)
- 視線の実測値(POP 注視率・カラー POP の比率・注視距離・チェックの質)
- 非計画購買の比率を 青果物・青果物以外・全商品で分けて出している
- 被験者は 20 名で、すべて女性
- 都内の高級スーパー 1 店舗・2 日間の調査
- 著者は高級スーパーを選んだ理由を 「ストアブランドが形成されており、POP の影響がより明瞭に表れると考えたため」と書いている ── 効果が出やすい条件を選んでいる
- 2005 年の調査
- 売上点数の変化は「増加した」という記述のみで、% や実数がない
- 著者が挙げる残された課題 ── 加工食品など他商品との比較、より効果的な POP の内容の検討
- 著者は POP の差異化だけで産地のマーケティング力が高まるわけではないとも述べている
自店に持ち込めるのは 数値そのものではありません。 ①POP は見られない前提で作る ②色を変えると見られ始める距離が伸びる ③内容は商品との組み合わせで決まる。 この 3 つの考え方のほうです。
POP を見直す 5 つの手順
- 1 つの売場で、客の視野に同時に入る POP の枚数を数える
- 研究では 視線に占める POP への注視が平均 2 割強だった
- 枚数を増やしても、見られる総量は増えない前提で考える
- 店舗標準の POP は 白色を基調にしていることが多い
- 研究では 白い POP は近い位置に達しないと注視されなかった
- 全部を色つきにしない。色つきが増えれば、そのなかで埋もれる
- 研究で色を変えたのは 5 商品のうち 2 商品だけ
- それで 全 POP への注視の 5 割超を集めた
- 絞るからこそ差がつく
- 売上点数が増えたのは 馴染みが薄い商品にレシピを付けた場合だけ
- 調理方法が知られている商品にレシピを付けても変化はなかった
- 生産者の写真も変化はなかった
- 「何を書くか」ではなく「どの商品に書くか」から決める
- 遠くから気づかせる: 大きな文字のコピーと写真
- 近づいてから読ませる: 説明の文章
- 研究では 最初にコピーと写真、購入を検討する段階で文章という順序が観察された
- 文章だけの POP は、そもそも読まれる段階まで届かない
まとめ
- 買物客の視線を実測すると、POP への注視は平均で 2 割強。 最大の被験者でも 4 割
- 店舗標準の白い POP は、近い位置に達しないと注視されない
- 色を変えた POP はより遠くから注視される。 色を変える意味は、見られ始める距離が伸びること
- カラー POP は 5 商品のうち 2 商品にしか付いていなかったのに、 全 POP への注視の 5 割超を集めた
- 同じ商品に並べた 2 枚でも、白い POP は「簡単チェック」だけで終わった
- 青果物の非計画購買の比率は 76%(青果物以外 60%/全商品 64%)
- 売上点数が増えたのは 馴染みが薄い商品にレシピを付けた 1 パターンだけ。 生産者の写真も、既知の商品へのレシピも変化なし
- 客は ①大きな文字のコピーと写真 → ②他商品との比較 → ③コメント文章の順に見ていた
- メニューが決まっていない客だけが、ケース 3 段目以上にも 2 割を超す割合で視線を向けていた
- 被験者 20 名・すべて女性・都内の高級スーパー 1 店舗・2 日間・2005 年。 著者は POP の影響が明瞭に出やすい店を選んだと明記している
- 手順は ①枚数を数える ②白い POP を数える ③見せたい商品を 1 つか 2 つに絞る ④使い方を知らない商品を選ぶ ⑤1 枚に 2 つの役割を入れる
今週できることは 1 つだけです。自店の売場に立って、客の視野に同時に入る POP を数えて、そのうち何枚が白いかを書き出してみること。白ばかりなら、通路を歩いている客にはまだ届いていません。何を書くか考えるのはそのあとで構いません。
※ 主データは国内の学会誌に掲載された個別報告論文で、原文を取得して数値を照合しています。ただし被験者は 20 名ですべて女性、都内の高級スーパー 1 店舗における 2 日間の調査で、2005 年のデータです。自店の値を示すものではありません。著者は調査対象に高級スーパーを選んだ理由として、ストアブランドが形成されており POP の影響がより明瞭に表れると考えたためと述べており、効果が出やすい条件を選んでいる点にご注意ください。売上点数についての記述は実験日の前後を含む 1 週間分の推移を POS データで確認したもので、増加したという記述のみであり、% や点数の実数は示されていません。またパプリカとオクラでは同期間中の売上点数に際立った変化が確認できておらず、産地作成の代表的なパターンである生産者の写真を内容とした POP は効果が確認されていません。注視とは視線が時間の長短にかかわらず対象物に留まった状態を指します。念入りチェックと簡単チェックの分類は別の研究によるものです。著者は残された課題として、加工食品など他商品との比較分析と、より効果的な POP の内容の検討を挙げており、POP の差異化のみで産地のマーケティング力が高まるわけではないとも述べています。自店では、客の視野に同時に入る POP の枚数と色を記録し、絞った商品で見られ方が変わるかを確かめてください。
よくある質問
売場の POP は、どれくらい見られているのですか
思っているより見られていません。国内のスーパーで買物客 20 名にアイカメラを装着して視線を測った研究では、実験区を通過したときに視野にある全対象物への注視のうち、POP への注視が占める割合は被験者全体の平均で 2 割強でした。いちばん多く見ていた被験者でも 4 割です。裏を返せば、平均的な客は視線の 8 割近くを商品そのものや他のものに使っています。POP は見られる前提ではなく、見られない前提で作る必要があります。なお被験者は 20 名すべて女性で、都内の高級スーパー 1 店舗・2 日間の調査です。
POP の色を変えると何が変わるのですか
見られ始める距離が変わります。この研究では、被験者が POP を最初に注視した場面を、POP と被験者の距離という観点で整理しています。その結果、より遠くから注視されるのは色を変えた POPで、店舗標準の白い POP はより近い位置に達しないと注視されないことが分かりました。つまり色を変える意味は、近くで目立つことではなく、注意を引き始める距離が伸びることにあります。またプッシュアウト陳列した商品に添付した全 POP への注視のうち、カラー POP への注視が 5 割を上回りました。カラー POP が付いていたのは 5 商品のうち 2 商品だけです。
どんな内容の POP が効くのですか
この研究では 3 パターンのうち 1 つだけが効きました。売上点数が前後と比べて増えたのは、馴染みの薄い商品(ボストンレタス)にレシピを内容とした POP を付けた場合だけです。産地作成の代表的なパターンである生産者の写真を内容とした POP(パプリカ)では、同じ期間の売上点数に際立った変化は確認できませんでした。調理方法が既知の商品(オクラ)にレシピの POP を付けた場合も、変化は確認できていません。つまりレシピが効いたのではなく、客が調理方法を知らない商品にレシピを付けたときに効いた、という読み方になります。なお増加は増えたという記述のみで、% や点数の実数は示されていません。
なぜ青果売場で POP が重要なのですか
買うと決めずに来ている客が多いからです。この研究で被験者が実験当日に購入した商品を整理したところ、青果物の非計画購買の比率は 76%でした。青果物以外の商品が 60%、全商品では 64% なので、青果物はとくに高いことになります。さらに非計画購買の対象となった青果物を見ると、陳列方法はケース陳列が 41%、次いでプッシュアウト陳列が 34% で、この両者で全体の 7 割弱を占めていました。またPOP が添付された商品が 7 割ほどでした。買うものが店内で決まる比率が高いほど、店頭の見せ方で結果が変わります。
この研究をそのまま自店に当てはめてよいですか
当てはめないでください。理由は 4 つあります。1 つ目は被験者が 20 名で、すべて女性であること。2 つ目は都内の高級スーパー 1 店舗・2 日間の調査であること。3 つ目は、著者が高級スーパーを選んだ理由としてストアブランドが形成されており POP の影響がより明瞭に表れると考えたためと書いていること。つまり効果が出やすい条件を選んでいます。4 つ目は2005 年の調査であることです。また売上点数の変化は増えたという記述のみで、% や実数が示されていません。自店で使えるのは数値そのものではなく、POP は見られない前提で作る、色を変えると見られ始める距離が伸びる、内容は商品との組み合わせで決まるという 3 つの考え方のほうです。
- 清野誠喜、上田賢悦、中嶋直美(2006 年発表)「青果物購買行動における POP の影響 ── アイカメラとプロトコルを併用した購買行動分析」農林業問題研究 42(1) 139-144 — 本記事の主データ。国内の学会誌に掲載された個別報告論文。都内の高級スーパー 1 店舗の青果物コーナーで、同店を一定頻度以上で利用する被験者 20 名(すべて女性)にアイカメラと IC レコーダーを装着し、2005 年 7 月 31 日から 8 月 1 日の 2 日間、普段どおり買い物をしてもらった。実験区を必ず通過することだけを依頼し、商品の購入は依頼していない。被験者が当日に購入した商品では、青果物の非計画購買の比率が 76%(青果物以外 60%、全商品 64%)だった。非計画購買の対象となった青果物の陳列方法はケース陳列 41%、プッシュアウト陳列 34% で、POP が添付された商品が 7 割ほどを占めた。視野にある全対象物への注視に占める POP への注視の比率は、最大の被験者で 4 割、被験者全体の平均で 2 割強だった。プッシュアウト陳列した商品に添付した全 POP への注視に対し、カラー POP への注視は 5 割を上回った。POP を最初に注視した場面を距離で整理すると、より遠くから注視されるのはカラー POP で、白色を基調とした店舗標準 POP はより近い位置に達しないと注視されなかった。カラー POP ほど念入りチェックが多く行われ、同じ商品に併せて添付した店舗標準 POP には簡単チェックのみが行われた。POS データでは、馴染みが薄い商品にレシピを内容とした POP を添付したボストンレタスで売上点数が前後と比べて増加した一方、生産者の写真を内容とした POP を添付したパプリカと、調理方法が既知でレシピを添付したオクラでは際立った変化が確認できなかった。地域農林経済学会の学会誌
- 増田大之、菊池眞也、新井健(2009 年発表)「エージェントベースシミュレーションによる小売店舗レイアウトの効果分析」日本経営工学会論文誌 60(3) 128-144 — 国内のドラッグストアを観察し、客ひとりひとりの動きを再現するシミュレーションで売場レイアウトの効果を分析した原著論文。POP については、近接させると個々の POP の影響力が低下すると考えられ、点在させることで客が注視する機会を増やすべきだという仮説が示されている。本記事では、POP を増やす前に見直すべき点として参照している。日本経営工学会の学会誌
- ピエール・シャンドン、ウェズリー・ハッチンソン、エリック・ブラッドロー、スコット・ヤング(2009 年発表)「棚での注意の測定 ── 店内での見られ方とブランド評価が、ブランドの検討と選択に与える影響」 — 買物客の視線を計測し、棚の位置と見られ方の関係を分析した研究。棚の上段と中央に視線が集まりやすいことが示されている。本記事では、位置で決まる見られ方と、色で決まる見られ方が別の要因であることを示すために参照している。マーケティングの国際学術誌
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明日からの現場が変わります。