棚の前を3回通らせても買う確率は0.21 ── 止まった回数が3回なら0.58

棚の前を3回通らせても買う確率は0.21 ── 止まった回数が3回なら0.58
課題

売場づくりの解説は、たいてい 「回遊させる」「滞在時間を延ばす」で組み立てられています。通らせれば買ってもらえる、という前提です。

ところが国内の量販店で買物客を尾行追跡した研究では、同じ棚の前を 3 回以上通らせても、購入に至る確率は 0.21でした。

効果

差が出たのは 止まった回数のほうです。その棚で 3 回足を止めると、購入確率は 0.58になりました。

さらに 秒数の段階で行動が変わります。0〜5 秒は見るだけ(0.63)、30〜100 秒で手に取る(0.69)、300 秒を超えると買う(0.71)。

本記事の主データは 国内の学会誌に載った査読付き論文で、当サイトの売り場記事では 5 本目の国内研究になります。

よくある度 ★★★★★
影響度 ★★★★☆
実施しやすさ ★★★★☆
先生
先生

この記事は以下のような方に読んでいただきたい内容です。

  • 回遊させているのに売上が伸びない店舗経営者
  • 動線を引き直すか迷っている店長
  • 中央の棚が売れないと感じている売り場責任者
  • 滞在時間を何秒単位で考えたい方
  • 国内の店舗で測った研究を知りたい方

概要 ── 通らせても買わない

経営者

動線を工夫して店内を回ってもらうようにしたんですが、売上がそれほど変わらなくて。

先生
先生

その感覚は数字にも出ています。国内の量販店で買物客 75 名を尾行追跡して、棚ごとに通過回数と購買の関係を出した研究があるのですが、通らせるだけでは思ったほど動きません。

この記事で扱う数字
  • 同じ棚を 3 回以上通過したときの購入確率: 0.21
  • 同じ棚で 3 回以上止まったときの購入確率: 0.58
  • 滞留時間ごとに最も確率が高い行動: 0〜5 秒は見るだけ 0.63 / 30〜100 秒は手に取る 0.69 / 300 秒以上は買う 0.71
  • 壁沿いを通って店舗奥まで一回以上行く確率: 0.61
  • 関係が確認されなかったもの: 棚幅・曲がる回数・来店頻度
  • モデルの判別率: 67.6%
✎

この記事の数字について

主データは 国内の学会誌に載った査読付き論文で、原文を取得して数値を照合しています。

ただし 京都市内の子供用品量販店 1 店舗、2006 年の調査、 記録 75 名のうち分析は 58 名です。

また ここに出てくるのはすべて条件付確率であって、因果ではありません。

買物客 75 名を尾行追跡した調査

この研究の値打ちは 1 人ずつ尾行して、棚ごとに何が起きたかを手で記録していることです。

調査の作り
  • 場所: 京都市内にあるロードサイド立地の子供用品量販店(430 平方メートルほど)
  • 時期: 2006 年 9 月 21〜22 日、28〜30 日
  • 対象: 75 名の購買行動(大人のみ 34 名/子供連れ 41 名)
  • モデル化: 店内の陳列棚を 65 の陳列棚、商品を 10 種類に分類
  • 分析: 欠損値のない 58 名分(58 名 × 65 棚)
記録した手順
  • ① 来店時: 来店者と子供の 年齢層・性別・人数を観察して記録
  • ② 店内: 移動や滞留のたびに、滞留した棚の場所・滞留時間・移動軌跡・購入商品をレジへ行くまで平面図に記録
  • ③ 退店時: 来店頻度と目的の商品を直接尋ねる
先生
先生

退店時に「今日は何を買いに来たか」を直接聞いているのが効いています。目的があった客と、なかった客を分けて見られるようになります。カメラだけの計測では取れない情報です。

売場の行動を 通過・立寄・接触・買上に分けて数えた研究は、エンド売場で新しい使い方を訴求した実験でも扱いました。今回は店内 65 棚すべてが対象です。

3 回通らせても購入は 0.21

まず 通過回数から見ます。ある棚の前を何回通ったかで、その棚での行動がどう変わるかです。

通過回数ごとの条件付確率
  • 1 回通過: 滞留なし 0.77 / 見るだけ 0.05 / 手に取る 0.13 / 購入 0.06
  • 2 回通過: 滞留なし 0.63 / 見るだけ 0.05 / 手に取る 0.20 / 購入 0.12
  • 3 回以上: 滞留なし 0.49 / 見るだけ 0.06 / 手に取る 0.24 / 購入 0.21
経営者

1 回通っただけだと、8 割近くは何もしないんですね。

先生
先生

そこが出発点です。1 回通過では滞留なしが 0.77。3 回以上通らせても、まだ 0.49 は素通りです。著者は 通過回数が 1 回増えるごとに購入確率は 0.06 から 0.09 上がると書いています。

通らせること自体は無駄ではありません。遠くを通らせると計画外の買物が +54% という米国の研究もあります。ただし、通過だけで期待できる幅はここまでということになります。

止まった回数だと 0.24 → 0.43 → 0.58

同じ棚で 足を止めた回数で見ると、様子が変わります。

滞留回数ごとの条件付確率
  • 1 回: 見るだけ 0.20 / 手に取る 0.55 / 購入 0.24
  • 2 回: 見るだけ 0.05 / 手に取る 0.51 / 購入 0.43
  • 3 回以上: 見るだけ 0.04 / 手に取る 0.36 / 購入 0.58
通過と滞留の差
  • 通過回数が 1 回増えたときの購入確率の増え方: 0.06 〜 0.09
  • 滞留回数が 1 回増えたときの増え方: 0.15 以上(著者の記述)
  • → 止まらせるほうが、通らせるより 2 倍ほど効く
先生
先生

実務ではここが分かれ目だと思います。動線を引き直して通らせるのと、いま通っている棚で足を止めてもらうのとでは、後者のほうが手数も少なく、効きも大きいということになります。

秒数の段階で行動が変わる

この研究のいちばん使いやすいところが、滞留時間を 5 段階に区切っていることです。

滞留時間ごとに、最も確率が高い行動
  • 0 〜 5 秒: 見るだけ 0.63(手に取る 0.31 / 購入 0.05)
  • 5 〜 30 秒: 手に取る 0.66(見るだけ 0.16 / 購入 0.18)
  • 30 〜 100 秒: 手に取る 0.69(購入 0.27)
  • 100 〜 300 秒: 手に取る 0.51 / 購入 0.48
  • 300 秒以上: 購入 0.71(手に取る 0.24)
経営者

5 秒では見られただけ、ということですか。

先生
先生

そう読めます。手に取ってもらうには 5 秒を超える必要があり、買ってもらうには 100 秒を超えたあたりから確率が立ち上がる。ただし長く止めれば買うという因果ではありません。買う人はもともと長く止まる、という向きもありえます。

見る・手に取る・買うが別の段階であることは、青果売場で視線を測った研究でも確かめられています。今回はそこに秒数が付いた形です。

客は壁沿いを歩き、中央を通らない

研究は 入口から棚に至るまでに通過する分岐点の数で、65 の棚を 6 つに分類しています。

棚の位置ごとの通過なしの確率
  • 入口側の棚: 通過なし 0.21(最も低い)/1 回通過 0.36(最も高い)
  • 中央部の棚: 通過なし 0.45 / 0.50 / 0.52 / 0.58
  • 一番奥の棚: 通過なし 0.39 ── 中央部より 0.06 〜 0.19 低く、1 回通過は 0.05 〜 0.14 高い
  • → 来店者は中央部より壁沿いを通っている

著者は 「来店者は壁沿いを通過し店舗奥まで一回以上行くことが 0.61 の確率で生じる」とまとめています。入口と奥は通られる。真ん中は通られないということです。

先生
先生

この店は 陳列棚が格子状に、ほぼ等しい通路幅で並んでいる店でした。著者は 内装が均質なので、客が店内で商品の位置を知ることが難しくなっていると書いています。均質だからこそ、迷わずに済む壁沿いを選んでいると読めます。

目的の商品と同行者で動線が変わる

誰が、何を買いに来たかでも動き方が違いました。

目的の商品による違い(通過なしの確率)
  • 子供衣類が目的: 0.52(最も高い = 店内を広く探索しない)
  • 大型用品が目的: 0.39(低い)。しかも 3 回以上通過が 0.19と他より高い
  • 著者の説明: 衣類は商品数が多く比べにくいので同じ棚を何度も確認するだけ。大型商品は商品数が少なく比べやすいので、他の棚も見る
同行者による違い(通過なしの確率)
  • 父・母のみ: 0.47 / 祖父母のみ: 0.51 / 夫婦: 0.41
  • グループで来店: 0.29(他より 0.12 以上低い)
  • グループは 2 回通過 0.19 / 3 回通過 0.18 と、複数回通る割合も高い
  • 著者の解釈: 各々が目的の場所へ行き、相談するために移動している

店内を広く歩いてほしいなら、比べやすい商品を置くことになります。比べにくい商品は、同じ棚に客を留めてしまいます。

関係しなかった 3 つ

この研究は 14 の属性の関係を調べています。そのうち 購買行動まで辿れる道筋が無かったものが 3 つありました。

購買行動と結びつかなかったもの
  • 棚幅 ── 棚を広く取ることは購買行動と結びつかなかった
  • 陳列棚に到達するまでに曲がる回数
  • 来店頻度 ── 常連かどうかは、その棚での行動と結びつかなかった
もう 1 つの「関係なし」
  • 滞留順序と滞留行動のあいだにも道筋が無かった
  • → どの順番で商品を見て回るかは、その棚での行動に関係がない
先生
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売場を直すとき、まず棚幅を広げたり、通路の曲がりを減らしたりしたくなります。この分析では、そこは購買行動につながっていませんでした。先に触るべきは、止まってもらうほうです。

この研究の性質と限界

確かめられていること
  • 実店舗で 1 人ずつ尾行追跡し、棚ごとに手で記録している
  • 退店時に目的の商品と来店頻度を直接聞いている
  • 65 の棚それぞれについて、通過・滞留・行動を対応づけている
  • 関係しなかった属性も報告している
確かめられていないこと
  • 京都市内の子供用品量販店 1 店舗のみ(430 平方メートルほど)
  • 2006 年の調査
  • 記録は 75 名、分析は 58 名 ── 著者もより多くのデータが集められれば理想的だったと明記
  • モデルの判別率は 67.6%(著者は「この種の判別では高い精度」と注記)
  • すべて条件付確率であって、因果ではない
先生
先生

自店に持ち込めるのは 数値そのものではありません。 ①通過と滞留を分けて数える ②秒数で段階を見る ③中央の棚は通られない前提で置く。 この 3 つの見方のほうです。

売場で試す 5 つの手順

① 通った人と止まった人を分けて数える
  • 1 つの棚の前で 通過した人数と、足を止めた人数を別々に数える
  • 1 日 30 分でよいので、正の字で 2 列にする
  • 通過だけを数えても、売れるかは分からない
② 止まった人の秒数を測る
  • 5 秒 / 30 秒 / 100 秒 / 300 秒の 4 つで区切る
  • 研究では 5 秒以内は見るだけ、30〜100 秒で手に取る、300 秒超で買うが最も高い確率だった
  • どの区切りで人が減っているかを見る
③ 中央の棚を数え直す
  • 研究では 中央部の棚は通過なしが 0.45 〜 0.58
  • 半分以上の客がそもそも前を通っていない
  • 中央に置くものは、通られなくても困らないものにする
④ 比べやすい売り方にする
  • 研究では 比べにくい商品ほど、同じ棚を何度も確認して他を見なかった
  • 違いが一目で分かる並べ方にすると、客は次の棚へ動く
  • グループ客は店内を広く何度も回るので、そこも合わせて見る
⑤ 棚幅と通路より先に、止まる理由を作る
  • 研究では 棚幅・曲がる回数・来店頻度は購買行動と結びつかなかった
  • 什器を動かす前に、その棚で足を止める理由があるかを確かめる
  • 滞留が 1 回増えるだけで購入確率は 0.15 以上動く

まとめ

この記事のポイント
  • 同じ棚を 3 回以上通らせても、購入に至る確率は 0.21 (1 回 0.06 / 2 回 0.12)
  • 同じ棚で 3 回止まれば 0.58(1 回 0.24 / 2 回 0.43)
  • 通過が 1 回増えると 0.06 〜 0.09、滞留が 1 回増えると 0.15 以上。 止まらせるほうが 2 倍ほど効く
  • 滞留時間で行動が変わる ── 0〜5 秒は見るだけ 0.63 / 30〜100 秒は手に取る 0.69 / 300 秒以上は買う 0.71
  • 来店者は中央部より壁沿いを通っている。 壁沿いを通って店舗奥まで一回以上行くことが 0.61 の確率で生じる
  • 中央部の棚は通過なしが 0.45 〜 0.58。半分以上は前を通っていない
  • 比べにくい商品が目的の客は、同じ棚に留まって他を見ない(通過なし 0.52)。 グループ客は広く何度も回る(通過なし 0.29)
  • 棚幅・曲がる回数・来店頻度は、購買行動と結びつかなかった。 見て回る順番も、その棚での行動に関係しなかった
  • 1 店舗・2006 年・分析は 58 名・判別率 67.6%。 すべて条件付確率であって因果ではない
  • 手順は ①通過と滞留を分けて数える ②秒数を測る ③中央の棚を数え直す ④比べやすい売り方にする ⑤棚幅より先に止まる理由を作る

今週できることは 1 つだけです。主力商品の棚の前に 30 分立って、通り過ぎた人と足を止めた人を、正の字で 2 列に分けて数えてみること。止まった人が極端に少なければ、動線ではなく棚の中身の問題です。什器を動かすのはそのあとで構いません。

※ 主データは国内の学会誌に掲載された査読付き論文で、原文を取得して数値を照合しています。ただし京都市内にある 430 平方メートルほどの子供用品量販店 1 店舗における 2006 年 9 月の調査で、自店の値を示すものではありません。記録したのは 75 名の購買行動ですが、分析に用いたのは欠損値のない 58 名分です。著者自身が、より多くの来店者のデータが集められれば理想的であったと述べています。モデルの信頼度は通過回数の判別率で示されており 67.6% です。著者はこれを、この種の判別では高い精度であると注記しています。本記事に記載した数値はすべて条件付確率であり、因果関係を示すものではありません。とくに滞留時間と購買の関係については、長く止まらせれば買うという向きだけでなく、買う人がもともと長く止まるという向きもありえます。棚幅・曲がる回数・来店頻度については、ベイジアンネットワーク上で購買行動の属性まで辿れる有向リンクがなかったという結果であり、あらゆる条件で無関係であることを示すものではありません。自店では、1 つの棚の前で通過した人数と足を止めた人数を分けて記録するところから確かめてください。

よくある質問

客をたくさん歩かせれば売れるのですか

通らせるだけでは足りませんでした。国内の量販店で買物客を尾行追跡した研究では、ある陳列棚の前を1 回通ったときに購入に至る確率が 0.06、2 回で 0.12、3 回以上でも 0.21 でした。通過回数が 1 回増えるごとに購入確率は 0.06 から 0.09 しか上がりません。いっぽう、その棚で足を止めた回数で見ると、1 回で 0.24、2 回で 0.43、3 回以上で 0.58です。著者は滞留回数が 1 回増えると購入に至る確率が 0.15 以上増えると書いています。通らせることと止まらせることは別の話で、後者のほうが購買に近いことになります。

何秒止まると買うのですか

秒数の段階で行動が変わっていました。この研究は滞留時間を 5 段階に分け、それぞれでいちばん確率の高い行動を出しています。0 から 5 秒では見るだけが 0.63、5 から 30 秒では手に取るが 0.66、30 から 100 秒でも手に取るが 0.69、100 から 300 秒では購入が 0.48、300 秒以上では購入が 0.71 でした。つまり5 秒では見られただけ、30 秒から 100 秒で手に取られ、5 分を超えると買われる確率がいちばん高くなります。ただしこれは条件付確率であって、長く止めれば買うという因果を示すものではありません。

客は店のどこを歩いているのですか

中央より壁沿いを歩いていました。この研究は入口から陳列棚に至るまでに通過する分岐点の数で棚を 6 つに分類しています。入口側の棚は通過なしの確率が 0.21 と最も低く、1 回通過が 0.36 と最も高くなりました。店の一番奥の棚も、中央部の棚と比べて通過なしの確率が 0.06 から 0.19 低く、1 回通過が 0.05 から 0.14 高くなっています。著者は、来店者が壁沿いを通過して店舗奥まで一回以上行くことが 0.61 の確率で生じると書いています。つまり中央の棚は通られにくいということになります。

効かなかったものはありますか

あります。この研究はベイジアンネットワークで 14 の属性の関係を調べていますが、棚幅、陳列棚に到達するまでに曲がる回数、来店頻度の 3 つは、購買行動の属性まで辿れる有向リンクを持ちませんでした。つまり棚を広く取ることや、曲がる回数を減らすことは、この分析では購買行動と結びついていません。また滞留順序と滞留行動のあいだにも有向リンクがなく、どの順番で商品を見て回るかは、その棚での行動に関係がないという結果でした。売場を直すときに、この 3 つを先に触っても効きにくいことになります。

この研究をそのまま自店に当てはめてよいですか

当てはめないでください。理由は 4 つあります。1 つ目は、京都市内にある 430 平方メートルほどの子供用品量販店 1 店舗だけの調査であること。2 つ目は2006 年の調査であること。3 つ目は、記録したのが 75 名で、欠損値のない 58 名分だけを分析していること。著者自身がより多くのデータが集められれば理想的だったと書いています。4 つ目は、モデルの判別率が 67.6% であり、完全な予測ではないことです。またここに出てくる数値はすべて条件付確率であって、因果を示すものではありません。自店で使えるのは数値そのものではなく、通過と滞留を分けて数えるという見方のほうです。

📚 この記事の参考研究・一次資料
  • 立岡恵介、吉田哲、宗本順三(2008 年発表)「店舗内の購買行動のベイジアンネットワーク分析」日本建築学会計画系論文集 第 73 巻 第 634 号 2633-2638 — 本記事の主データ。京都市内にあるロードサイド立地の子供用品量販店(430 平方メートルほど、陳列棚が格子状にほぼ等しい通路幅で配置)で、2006 年 9 月 21・22 日と 28 日から 30 日にかけて、来店者 75 名を 1 人ずつ尾行追跡した調査。来店時に年齢層・性別・人数を観察し、移動や滞留のたびに滞留した陳列棚の場所・滞留時間・移動軌跡・購入商品をレジへ行くまで平面図に記録し、退店時に来店頻度と目的の商品を直接尋ねている。店内の陳列棚を 65 にモデル化し、欠損値のない 58 名分を用いてベイジアンネットワークと確率伝搬法で 14 属性の関係を分析した。通過回数ごとの購入確率は 1 回 0.06、2 回 0.12、3 回以上 0.21 で、通過回数が 1 回増えるごとに 0.06 から 0.09 増えるにとどまった。いっぽう滞留回数ごとの購入確率は 1 回 0.24、2 回 0.43、3 回以上 0.58 で、著者は滞留回数が 1 回増えると購入に至る確率が 0.15 以上増えると述べている。滞留時間別に最も高い確率を示した行動は、0 から 5 秒が視認 0.63、5 から 30 秒が手に取る 0.66、30 から 100 秒が手に取る 0.69、100 から 300 秒が購入 0.48、300 秒以上が購入 0.71 だった。棚の位置では、入口側の棚の通過なし確率が 0.21 と最も低く、店の一番奥の棚も中央部と比べて通過なしが 0.06 から 0.19 低く、来店者が壁沿いを通過して店舗奥まで一回以上行くことが 0.61 の確率で生じるとされている。棚幅、陳列棚に到達するまでに曲がる回数、来店頻度は購買行動の属性まで辿れる有向リンクを持たなかった。モデルの判別率は 67.6%。日本建築学会の学会誌に掲載された査読付き論文
  • 立岡恵介、吉田哲、宗本順三(2008 年発表)「購買行動と商品陳列方法のベイジアンネットワーク分析」日本建築学会計画系論文集 第 73 巻 第 633 号 2349-2354 — 同じ著者らによる、同じ調査にもとづく対の論文。こちらは陳列棚に対する陳列方法(正面を見せる並べ方、袖を見せる並べ方など)と購買行動の関係を扱っている。本記事では、主データの著者が今後の課題として挙げた陳列方法の検討がこの論文に対応することを示すために参照している。日本建築学会の学会誌に掲載された査読付き論文
  • サム・ホイ、ジェフリー・インマン、ヤンリウ・ホアン、ジェイコブ・スーハー(2013 年発表)「店内の歩行距離が計画外支出に与える影響」 — 米国の食品スーパーで店内の動線を追跡した研究。買物客の動線は売場の半分未満の区画しかカバーしておらず、計画した動線から遠くへ歩かせるクーポンを受け取った客の計画外支出が 21.29 ドル、近くの未計画カテゴリのクーポンでは 13.83 ドルだった。本記事では、通らせること自体には効果があるが期待できる幅には限りがあるという論点の対比として参照している。マーケティングの国際学術誌

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